2017 Best Movies 20 (ベストと言いつつ「あの映画見てなかった」が沢山でお手上げです)
早くも「暦の上ではディセンバー」ということに気付き膝が笑うわ。なんつって。年の瀬ですからね、どこもかしこも「総決算、総決算」とやかましく、せっつくように便乗して「映画ベスト」という、なんともしょうもないリストを作らなければならなくって(そんな義務はどこにもない)。
というワケで、まず、しっかりと断っておきますと、敢えてこのランキングからは、ドラマシリーズを取り除いております。じゃないと『ストレンジャー・シングス』『ナルコス』『マスター・オブ・ゼロ』『レギオン』『ウエストワールド』『ブラック・ミラー』『ファーゴ』『ナイト・オブ・キリング』『アメリカン・ゴッズ』『13の理由』『プリーチャー』といった作品群がひしめき合うことになり、「それはそれでどうなんだ」と思わなくもないので。ただやっぱり、ドラマの時間密度を体感していると、どうしても映画の限界がたまにちらりと見えてきたりするのもまた事実で。もはや10何時間の映画、ともいえるワケで。でも、やっぱり映画という様式美で最大限表現できるものは、こちらも最大限に受信していきたいものですし、可能性は信じていきたいので、まあ謂わばジレンマみたいなものもあったり(笑) あくまで「テレビドラマ」という文化としてしばらくは自分の中で住み分けしていこうと思います。
それでは1位から順番にカウントダウンしていきます
(Twitterで既に投稿はしたのですが、後追いで見たので多少の変動があります。ほぼその通りですが一応)
2017年の映画ベスト16です。敢えて、ドラマは外しました。入れてしまうと1~3位が埋まってしまいますから。見ていないのも多くあるし、そのときのテンションとかもあるので、あまりアテにはならないです。 pic.twitter.com/YXcn4W1k4F
— 黒松商店 (@PONKOTSUforever) 2017年12月10日
1.エドガー・ライト『ベイビー・ドライバー(Baby driver)』
これ以上にパーフェクトでマーベラスな映画はなかったように思います。音楽が物語の速度を上げるエンジンではなく、ハンドルとなってまさしく映画と「同期」したような感覚になる。こんな発明されちゃ敵わんです。少し残念なのが、この映画によって「私たちの」エドガー・ライトが遠くに行っちゃったことくらいでしょうか(笑)
映画見て「最高」しか言わないヤツ嫌いなんだけど(まあ素直といえば素直)、これに関しては「最高ッッッ!!!」しか言えないです。エドガー、あんたは真の漢やで。
『ベイビー・ドライバー』冒頭6分間の映像を見れば憂鬱な気分も吹っ飛ぶので試してみてほしいhttps://t.co/oVj6M5osLf pic.twitter.com/zwNwEgpHIY
— 黒松商店 (@PONKOTSUforever) 2017年7月23日
『ベイビー・ドライバー』は、ダムドのパンクロックに、ヤングMCのヒップホップと縦横無尽な音楽が、ドアを閉める音から銃声までありとあらゆる音と動きまでもがミックスされた、ノンストップで疾走する新世代的"プレイリスト"映画。pic.twitter.com/uytkoW0nif
— 黒松商店 (@PONKOTSUforever) 2017年8月20日
2.バリー・ジェンキンス『ムーンライト(Monnlight)』
『ムーンライト』は、日本版公式ホームページのコメントにあるのですが、「せわしない日々、私が2時間休めるなら、迷わず再びこの映画を選ぶでしょう」という椎名林檎の賛辞が全てだと思います。月の光で照らされる少年の青い影が、指先から心に沁み込んでくる。こんなにも優しく、誰にでも響き、共鳴するシンプルなラブストーリーがかつてあったのだろうか。傷つきながら無垢を保ち続けたまっさらな想いが、開放された瞬間、さらさらと目から涙がこぼれ落ちました。ニコラス・ブリテルの奏でる音楽も素晴らしい。心を保ち続けることは何と美しいのだろう。静かに燃え続ける炎を胸にしまっておく人生もある。痛みもすべて抱えながら。
(Netflix加入されているなら、合わせて『ブラック・ミラー/サン・ジュニペロ』はリンクしまくるので見ていただきたいです)
この映画、各章で食事の場面が挿し込まれます。幼年期、輪に馴染めない"リトル"を麻薬ディーラーのフアン(マハーシャラ・アリというキャスティングがまた良い)がファストフードに誘う。少年期、母親は麻薬に溺れ、学校にも居場所がないシャロン("シャイロン"読みが正しいだろう)は、テレサに温かい家庭料理で迎えられる。感情を押し殺して、見た目も変わり、心も体も鎧で覆った"ブラック"に、彼がかつて恋心を抱いていたケヴィンが差し出すのは「シェフのオススメ」。居場所がない人に居場所を与えるために、食事を差し出す。なんて人間的で、根源的なのか。ダイナーでの場面はとても象徴的で、差し出す側のケヴィンは素手で料理を作り、差し出される側のシャロンは鎧である金のグリル(馴染みのない方はわかりにくいかもしれないですが、アレは金歯じゃないですよ)を外し、愛情を受け入れるために自分の歯で料理を噛み締め、心から味わう。砂浜の夜のことを胸に秘めながら。これほどまでに官能的で緊張感のある食事シーンは初めて見ました。エロい。一途ではないか。内向的であった彼が、心を開いた瞬間のときめきは言葉にできない。ひたすらにこぼれる涙をそっと隠してひっそり胸にこのときめきを閉じ込めておきたい。あと人生で何回見るのでしょうか。
3.ドゥニ・ヴィルヌーヴ『ブレードランナー2049(Bladde Runner 2049)』
ヴィルヌーヴ、よくやった。これに尽きるのかなと。史上最難度のトンチに見事に応えてみせた彼の力量には改めて感服してしまった。最もフォロワーが多いであろうカルト映画の金字塔として、長年崇め奉られてきた『ブレードランナー』の続編なんて誰も引き受けたくないでしょう(笑)。しかも、今までに『ブレラン』っぽい風景のSFなんかゴマンと作られてきて、もう飽和状態になっていたところに、この話が彼のもとに舞い込んだわけだから、そりゃもう心労は半端じゃなかったと思いますよ。正直予告編が出るまでは『~2049』というタイトル含め、受け入れられなかったクチでした。
でも、そんな不安は杞憂だったんですね。見事に一掃してくれました。まず、ストーリーが素敵ではありませんか。ハートが抉れそうなほど痛々しく切ない。これまでに提示された謎を一つずつ解き明かしていきながら、タルコフスキーのような画に加え、映像体験としてもこれまでとは違った新たなディストピア像を生み出し、流麗なアートムービーへと昇華し、新型の「レプリカント」の想像に成功したんですね。しかも、ヴィルヌーヴの作家としての個性もきちんと生きていて、『灼熱の魂』『プリズナーズ』『ボーダーライン』のすべてがエッセンスとして混入しており、漸進したものにもなっていました。
妖しく光る繁華街のネオン、吹き荒ぶ砂嵐、崩壊した建造物、孤独な人々。
— 黒松商店 (@PONKOTSUforever) 2017年10月27日
「ブレードランナー2049」はリアルな"至近未来"を描いたSF(にジャンル付けすることを躊躇うほど至近である)で、思考を促す余白が大きい幽玄なアートムービーである。そして、ドゥニ・ヴィルヌーヴの映画であった。 pic.twitter.com/ILtQ8eMZKB
何か言うとネタがバレそうな気がして、来年1月にDVDリリースされたら『ブレラン2049』について、思索しながらブログ書こうと思っています(と書いておけば、やるだろうという半ばメモ書き程度の姑息な宣言)。ヒントはキリストの生誕。あるいはピノキオ。ピノキオとコオロギ。あと映画『ゴースト』も。ああ、そうだ。アレを見返そうと思って忘れてたな………
荒廃した未来の食料を再現するために虫育てるとか本気すぎるだろ『ブレードランナー2049』 pic.twitter.com/bIMZ1qJxDd
— 黒松商店 (@PONKOTSUforever) 2017年9月28日
ところで、虫ってちゃんと食したことがなくって、生理的にダメなのだけれども、いつかはチャレンジしてみたいジャンルではございます。
4.ポン・ジュノ『オクジャ/okja』
外連味は抑え目ながらも、やはりポン・ジュノです。意地が悪い。悪すぎる。資本主義を人型にしたような敵役はとにかく不気味で憎たらしいのに、見終わった後考えていくと、実は…………というのが本当にやらしい。感動したのも束の間、イヤな後味がザラリと舌に残る。ミジャの勝利が決して美しいものではなかったように、綺麗事だけじゃ生きていけないし、もう元には戻れないこの残酷さ。人間はかくも醜い。我々は「"彼女"は最後に何をささやいたのか」を考えるしかないようです。世界を変えることも、まだ間に合うのかも。
アメコミヒーロー映画というか西部劇でしたね。明確な『シェーン』へのオマージュ。マッカーシー文学にも近い。イーストウッド『グラン・トリノ』の延長線上にある物語でもある。死ねない男が、贖罪のために死を携え、ただただ生きては、仲間を喪い、かつての希望も絶たれ、自ら命を絶つこともできず、ただ老いが過ぎるのを待っていた、死を看取りすぎた男が、命の落とし前をひたすら模索し続けるサムライ映画のようでもあります。特筆すべきはヒュー・ジャックマンの身体性そのものでしょう。一人の男の人生を演じ切る、血生臭い演技。「彼」の死は1つの終着でもあり、新たな始まりでもあって、 「生き永らえる」というのは必ずしも「肉体の不死」を指すのではなく、「精神の不滅」を表すこともあるのかもしれません。 ローガンの長い長い旅は終焉を告げましたが、その終焉は改めて我々に生の重みを感じ取らせてくれました。ヒュー・ジャックマン、お疲れ様です。日本の温泉にでも来てください。
6.ジム・ジャームッシュ『パターソン(Paterson)』
ぶっちゃけ1位です(笑)。でも、やっぱここら辺に置いてじっくりと抱きしめておきたい、そんな逸品。あと2017年ベスト犬ムービーですね。犬採点方式だと犬5つ。何も起こらない幸せに感謝して、ネリーの幸福を祈るのです。心から心地よいと思える豊かな世界がこんなところにありました。平凡な退屈を愛する平凡な「詩人」たちへのジャームッシュからの賛歌ではないでしょうか。この映画を見てから、静かなパブでビールのなんともうまいこと。星野源の『くだらないの中に』が改めて沁みます。
宇宙でヒーローが活躍するアクション映画や鋭い批評性の社会派映画もいいんですけど、それだけでは気づけなかった(敢えて見てこなかった)ものもあって、騒騒しい社会で欠落していた穴を埋めてくれるような作品もやっぱり必要とされているワケでして。『パターソン』はまさに欠けた茶碗の一欠片のような一作です。あらゆる全てに愛を。詩の魔法は解けないよ。この時間を共有できたことは宝物です。
『パターソン』で孤高の詩人を演じたアダム・ドライバーの巨体から滲み出る繊細さ。つうか顔がジャームッシュそっくりだな。息子なんじゃないかw pic.twitter.com/yI9f7zwBjN
— 黒松商店 (@PONKOTSUforever) 2017年9月1日
7.シェーン・ブラック『ナイスガイズ!(The Nice Guys)』
いやはやライアン・ゴズリング、大活躍でしたね、2017年。そんな中で、最も光ってたこの『ナイスガイズ』。喜々として安い笑いを取りに行くあのコメディへの漲るやる気はどこから湧いて出たのか。もう終始笑い転げてましたし、実は『ベイビー・ドライバー』に続いて、一番劇場で見に行った映画。だって、好きなモンが全部乗ってるんですよ。1970年代ファッション&ミュージック、怪しげな私立探偵、バディもの、粗暴な熊おじさん、ダメなパパ、利発な子供、オフビートな笑い、スラップスティック、ブラックネタ、ガンアクション、顔が良すぎる殺し屋、などなど。そりゃもう支持しないわけにはいかないんですよ。不謹慎な笑わせ方がとにかく安易で、軽薄なのに、ハチャメチャ面白いプロットに、硬派なメッセージ性と「ナイスガイズとはこういうことよ」と態度で示す律義さ。ズルいですよ。シンプルに「あ、映画ていいもんだよな」というところに帰らせてくれる私的大ヒット作でした。ドラマシリーズ、マジで期待してますから!!
『ナイスガイズ!』全編でマーチはずっと情けないんですが、その中でもとびっきりなのが「オレは切れ者の探偵だぜ~」と有頂天になっていたら、脇にいる死体を見つけてしまい、腰を抜かして、ラッセル・クロウに助けを求めようとするも、声が全く出せなくなったところですね。本当に見ててお腹痛かった pic.twitter.com/VOGBZkcVOW
— 黒松商店 (@PONKOTSUforever) 2017年3月16日
8.クリストファー・ノーラン『ダンケルク(Dunkirk)』
強烈でした。「体験」そのものを観客にぶつける映像体験。プリミティブな制作方法に戻ることで、これまでになく究極にリアルで革新的になった『ダンケルク』は、間違いなくクリストファー・ノーラン最高傑作。それは彼のこれまでの作品があったからこそ。フィルムに対する執着、狂気じみた実物主義、そして時間へのこだわり。これらはいかにノーランが「映画を劇場で体感する」ことに重きを置いているのかを担保するものだと思います。改めてこの偉業に至るまでの長い道のりに敬服するばかりです。3/4をIMAXで撮影された今作の規格外の没入度は「ゲーム」と形容するべきなのかもしれないですね。カメラが「人の目」になることで、神話打ちこわし、ナマな新世代のVR体験を生み出してしまった。生々しい情報をシャットアウトし、戦場のあるシチュエーションを拡大し、情報量の少なさから憶測させ、何が起こるかわからない恐怖を観客の心内で増幅させる。しかも、戦場のゴールが見えないワケです。徹底的に恐怖を叩き込む映画としての強度の高さ。このオープンワールド的な映像によって『ダンケルク』の戦場の"体験者"となった観客が、チャーチルの言葉をどう捉えるのか。ここにノーランは映画が持つメッセージ性の部分を託したように感じました。人間の尊厳について思考し、ダンケルク・スピリットを共有することの意義。
『ダンケルク』は聞いて、肌で感じて、そして目撃するタイムサスペンス。
チクタクチクタクが心臓に悪い。
『ダンケルク』のトム・ハーディ、『マッドマックス』以上に物言わぬ役で、ほぼほぼ顔も隠れた演技だったんですが、やはりトムハは違いますね。目であんだけ語れるのは一流。
— 黒松商店 (@PONKOTSUforever) 2017年9月9日
そして彼の操縦するスピットファイアはあまりにカッコよすぎて、クライマックスの勇姿で泣きそうに。 pic.twitter.com/N6qP2DVKCq
9.アントワーン・フークア『マグニフィセント・セブン(The Magnificent Seven)』
「マグニフィセント・セブン」のクリス・プラットのキャラクターを分かりやすく説明するとジョセフ・ジョースターですね。ホラ、段々見たくなってきたでしょう? pic.twitter.com/imQ5TTEsfi
— 黒松商店 (@PONKOTSUforever) 2017年1月28日
「マグニフィセント・セブン」を最も盛り上げたのは、グッドナイト(イーサン・ホーク)とビリー(イ・ビョンホン)のスナイパー&必殺仕事人コンビですね。
— 黒松商店 (@PONKOTSUforever) 2017年1月27日
長年連れ添った夫婦、というよりガキの頃から一緒のマブダチみたいなサッパリした爽やかな友情で結ばれた2人に幸あれと願わんばかりでした pic.twitter.com/cWKiPhDhCx
理由が全く理解できないんですけど、「マグニフィセント・セブン」でヴァスケスが単身乗り込むときに、ギラッとした目でニヤつくシーンでボロ泣きしてしまったんですよね。 pic.twitter.com/sNA0mFTHc1
— 黒松商店 (@PONKOTSUforever) 2017年2月1日
西部劇を模った、アイドル映画ですね。地方復興アイドル映画。アイドル志望のデンゼル・ワシントンが町興しのためにクリス・プラット、イーサン・ホーク、イ・ビョンホンら、精鋭アイドルを募り、アイドルグループを結成して、大手事務所の大規模グループと戦うっていう(なんだこの喩え)。いつだって世界を救済するのはアイドルなんですよ。全世界共通で。劇場で思わず拍手しそうになった数少ない作品です。クライマックスが常時続いている映画なんて、飽きちゃいそうなんだけど、『マグ7』に関していえば例外。ずーっとアドレナリン出まくりで、クライマックスに楽しい。最高すぎる(また使っちゃったよ)ヤツである。アタマからケツまで「21世紀最高の西部劇を作ってやろうぜッ」というフークア監督のパッションが漲ってて、その心意気にまんまと泣かされました。キャラクターもどいつもこいつもみんな際立って素晴らしく、みんなが文句なしにカッコいい。生き残ったやつも、命を落としたやつも、キラキラに輝いてるんですよね。なんと潔いのか。7人が決して偶然ではなく、必然的であったかのように邂逅した、という「事実」がまた泣ける。人間はやっぱこうでなくっちゃ行けないと思わせられてしまうんですね。理屈抜きで心で通じ合う仲間だからこそジャック・ホーンの「尊敬できるヤツらと死ねるなら本望だ」って言葉が胸に迫ってくるんですよ。
決して、『七人の侍』『荒野の七人』をなぞっただけの作品ではないのも素晴らしいと思います。あくまでも「農民が蜂起することで戦いに勝利した」という結末に物語としての美徳と侍という生き方の哀しみを感じる『七人の侍』と差別化し、『マグニフィセント・セブン』ではそれらをエマ(ヘイリー・ベネット)という夫を無残に奪われた農民代表として登場させることで見事に消化しているんですよね。
あとね、デンゼル・ワシントン始めとした役者陣の拳銃捌きがフェチに刺さりまくって、萌えの許容値オーバーでした。
10.ケネス・ロナーガン『マンチェスター・バイ・ザ・シー(Manchester by the Sea)』
他の誰かにとって、死は別れでもあり、新たな始まりでもある。後ろに進んでも、不可逆な時間はひたすら前に進む。陳腐な表現ですが、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を見終わってそんなことを深く考えてしまいました。唐突な最愛の人の死(誰にでも訪れる別離)によって分断された人々が、心の隙間を埋め合わせるように、寄り添うも、どこかぎくしゃくしてしまう哀しさと滑稽さ。雪が溶けて岩肌が見えるまで待ち続けるような、落ち着いた優しい視線で悲しみを見つめる。決して成長や克服を強いることはしない。報われない後悔の物語に心が救われてしまった。予定調和で安易な救済ではなく、寛容な心でギュッと抱き寄せるような優しさに泣いてしまった。見る者を絶対に一人ぼっちにはさせない。ケイシー・アフレックに役を譲ったマット・デイモンには惜しみない賞賛を送らなければなりませんね。ミシェル・ウィリアムズも名演でした。『ムーンライト』同様、一生大事にしていきたい一作です。これも「他者を受け入れていく」ことを説いた映画なんですよ。
そう、小津安二郎はまだ生きていたんですね。
12.ジェームズ・ガン『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(Guardians of the Galaxy Vol.2)』
13.デイミアン・チャゼル『ラ・ラ・ランド(LA LA LAND)』
14.ロバート・エガース『ウィッチ(The VVitch)』
15.北野武『アウトレイジ 最終章』
17.パク・チャヌク『お嬢さん(The Handmaiden)』
18.メイコン・ブレア『この世に私の居場所なんてない』
19.湯浅政明『夜明け告げるルーのうた』
20.ジョーダン・ヴォート=ロバーツ『キングコング: 髑髏島の巨神(Kong: Skull Island)』
『哭声(The Wailing)』観た。謎の奇病と闇の國村隼が暗躍して中盤からの怒涛の超次元ハイテンション展開に脳の処理が間に合わず精神が削られる異様な映像体験だった………そして、吊り下げられたカラスと燃え盛る炎の中で呪術を唱える國村隼がひたすら異様で最高だった…… pic.twitter.com/XFAJMzc4CD
— 黒松商店 (@PONKOTSUforever) 2016年11月15日
本来ならば20位以内には入れていてもいい、怪作ナ・ホンジン『哭声/コクソン』はDVDが出てすぐに輸入盤を購入して昨年見たので、外させていただきました。ただ、こちらもまだ見ていらっしゃらない方がいるのなら、頭から浴びてほしい映画でございます。ゾンビ映画にシャーマニズムやキリスト教を放り込んでグツグツ煮たら、異形の化物が地の底から這い出てきたような作品でして、こればかりは「見てくれ」としかレコメンドができないものでございます。ホラーというよりもカルト。見たものしか信じないし、信じたいように人は信じる。そんな心理を掻いて、ミスリードに次ぐミスリードで、疑心暗鬼の種を植え付け、その種が悪魔を生んでしまうという、という他では経験しがたいものです。認識というモノを根本から否定する。神業と呼ぶにふさわしい編集で、救済の橋をことごとく粉砕する潔いまでの悪魔的所業。認識をテストするリトマス試験紙でもあるわけで。しかも國村隼さんがほぼ半裸で出ているんですよ。見ない理由ないですよね(強引)。是非。
このランキングが参考になるかどうかはわからないのですが、元々備忘録で作ったものにメモを付け加えた程度のモノなので、そこらへんは何卒。
こういうの考えると、さして見ていなくても通ぶれるからいいですね 笑