ふしぎなwitchcraft

評論はしないです。雑談。与太話。たびたび脱線するごくごく個人的なこと。

今更にもほどがある2017年の洋楽ふりかえり Part1

アップルミュージックやスポティファイのおかげで最新の音楽にスピーディーに触れることができるこのご時世。ありがたい話でございます。ツイッタで20枚くらい選出したのとまた順序がごっちゃになっていますが、趣味趣向はコロコロ変わるのでそこのところは何卒。1/4くらいは2018年になってもう一度本腰を入れて聴き直したものが混じっております。できるだけYoutubeで聴けるものを掲載していますが、できればCDなりを買っていただく(こちらには一銭も入りませんが)か、各種配信サービスでなるべく良い音で拝聴していただきたいものです。まあ書くいう自分は今現在、五代目の三遊亭圓楽師匠のCD全集に首ったけなので、あまりアテにゃなりませんが。

ところで、ブログタイトルにも書いた「洋楽」というのは、日本国外で生み出された音楽、という意味合いですが、最近は「洋楽テイストのポップス」なんて言葉が頻繁に見かけますから、この「洋楽」という言葉も再定義化する必要があるようですね。

kuro-matsu2023.hatenadiary.jp

あんまり1枚のブログに動画のリンクをひっつけると重たくなるので、できるだけ区切ってお届けさせていただきます。

 

 

○マウント・イアリ『ア・クロウ・ルックド・アット・ミー』

soundcloud.com

小袋成彬さんのラジオで一曲目の「リアル・デス」かかっていて、即刻購入を決めました。日本人なので、どうしても「モウント・イーリエ」と読みたくなってしまうのですが、マウント・イアリです。

ど頭から、とにかく悲痛です。なんせ「リアル・デス」ですから。「死は現実」と。下手くそな意訳で歌詞をざっと引用すると、

死は現実だ

誰かがそこにいてやがていなくなってしまう

死は歌うためにあるんじゃない

死はアートにするためにあるんじゃない

死が本当に家に入り込んできたなら、

すべての詩は無能である

僕が君のいた部屋に入って

代わりに空っぽの何もない部屋を見たとき

すべてがどうでもよくなる 

(中略)

言葉を失った

という具合。正確な訳ではないので、各自ググってください。そしてググられたらわかると思いますが、この歌は歌っているフィル・エルヴラムが奥さんを無くしたことから始まっているんですね。胸を抉るような、書いたペン先から生々しい血が滲むような、痛々しさ。このローファイな音は、奥さんを看取った部屋で録音されたそうで、このぐぐもった、飾らない、切実なギターから、悲しさややるせなさがヒシヒシ伝わります。

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身近な人の死を1つの作品にしても、悲しみは消えることも慰めることもできず、それでも1枚のアルバムになって、僕らの手元に届き、そして共有されてしまう、報われなさ。報われない故の美しさをダイレクトな温度間で感じ取れます。このアルバムを支配するある種の優しさは、人を喪う辛さを慰めることはできないけど、その現実へお拒絶感を優しく肯定してくれるような懐の広さからなのでしょうか。

「いない」ということは、同時に「いる」ということでもあるのでしょうね。

 

○(サンディ)アレックスG『ロケット』

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リリース当初はぼんやりした印象で、自分の中での季節感と合わなかった感じがあったんですけど、この間雪が降って溶けかかった地面を散歩しながらふと聴いてみると、めちゃくちゃハマって、「こういうことだったのか」と納得して、それ以来毎日聴いています。どうしても音楽を色合いとか時間帯とかで自分の中で分けて聴く傾向がある(サザンは夏の始まりから終わりまでが期限みたいなやつですよ)ので、こういう妙なタイムラグみたいなのが生まれてしまうんですかね。宅録感が絶妙に効いてて、ゆるいサイケな雰囲気があるんだけど、フィラデルフィアって年中寒いんですかね、どこか冷えたところがあって、一貫して張り詰めた空気があります。ハードもソフトもジャンル関係なしに思いついたらジャンジャン入れたれ、という精神もすごく好きです。フェニックスとかフランク・オーシャンとか思いだしたりしました。

この混迷した現代において、とても象徴的な一枚がひょっこり(なんか今ひょっこりさんという芸人が流行っているみたいですね)現れた感じがします。

 

○タイラー・ザ・クリエイター『フラワー・ボーイ』


Tyler, The Creator - 911 / Mr. Lonely (Audio)

タイラー・ザ・クリエイターという人は、ある種、躁病のような気があるのかな、と多重人格的なふるまいから想像していたのですが、今作はまた打って変わってナイーヴに深化していますね。ずっと燃え尽きて灰になっているような。元々孤独な方だとは思っていましたが、タイトルに「ミスター・ロンリー」とつけちゃいますからね。その前が「ローン・ウルフ」でしたっけ。こういう病んだ憂鬱さが、時にはささくれた心をほぐしてくれたりするものです。音像は結構甘々で誰でもニュートラルに聴けるんじゃないかな、と思います。ジャケは昨年出たものの中ではピカイチに好きかもしれません。夜の少し人気のないくらい道路を走りながら聴くとズブズブ来ます。夢の中で恋人に会うためにタイラー君は車を沈む気持ちで走らせているのでしょうな。

 

○アンブローズ・アキンムシーレ『ア・リフト・イン・デコラム:ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード

A Rift In Decorum: Live At the Village Vanguard

A Rift In Decorum: Live At the Village Vanguard

  • アンブローズ・アキンムシーレ
  • ジャズ
  • ¥2200

ライヴアルバムなんですけど、先日レコード屋で手に取ったばかりです。昨年の新作が一ケタのユーロで買える良心的なたたき売りが行われていたのと、ジャケットが気に入り購入しました。帰ってYoutubeの演奏を見てまたシビれました。すごい集中力で聴いてしまったほどです。

(下の動画は少し前のモノですが物は試しというヤツです)

www.youtube.com

 

ジョン・メイヤーザ・サーチ・フォー・エヴリシング』

www.youtube.com

発売以降折に触れて聴いてたのですが、あまりに聴きすぎて、2017年発売であることをすっかり忘れていたものです。彼のイメージといえば、ギタリストとしての腕前以上に、ヤリチ…………プレイボーイな印象が強くって、リリックでもいつも女々しいというか、未練がましいというか。常に影には恋あり、という男前な顔面通りの印象で、今作でもその未練がましい甘ったるさは健在。ずっと失恋してる。あれだけテクニックがあって、女にモテモテで、声もセクシーならもう何も要らんやろ、と若干僻んだりしたくなるもんですが、天はなんでこうこの男に天才的なソングライティング能力までも与えてしまったのでしょう。ここまでくると、嫉妬とかしちゃうのも恥ずかしいです。

「スティル・フィール・ライク・ユア・マン」の『キル・ビル』もどきのMVを見ながら、そういやこの人日本に交換留学してたんだよな、と思い出したり。こういう面白ジャパニーズな映像をなぜクリエイターたちは作りたがるのか、という疑問はさておき(嫌いじゃないし、むしろ好物なのでジャンジャカ作ってほしいです)、すごく歌唱がマーヴィン・ゲイアル・グリーンのような落ち着きと奥行きを見せていて、非常にヴォーカリストとしての熟練を感じます。『ムーヴィング・オン・アンド・ゲッティング・オーヴァー』サウンドが心地いいなと浸ってたら、ピノ・パラディーノ参加してるんですよね。後で知りました。

 

 

つづく